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研究資源 ― 植物園部門 ―

管理植物

 北大植物園では、北海道の自生植物を中心に約4,000種類が管理?育成されています。これらは分類学的知識に基づき正確に同定されたものであり、展示公開?社会教育のみでなく、野生植物の生株?遺伝子資源として、学内外を問わず広く生命科学研究に提供されています。
 これらの管理植物には、多くの絶滅危惧種や希少種が含まれています(後述「生育地外保全株」参照)。また、特筆すべきものとして、北海道産を中心とした冷温帯?高山植物約600種が高山植物園に、東アジアの北方民族アイヌ、ウィルタ、ニヴフが利用した植物約200種が北方民族植物標本園に、育成?展示されています。
 研究資源である管理植物は、一部の古い植物を除き、導入記録を備えています。また、開花や樹高や胸高直径などを定期的に調査?記録しており、生株?遺伝子だけでなく調査?研究に必要な情報も提供しています。
 なお、研究を目的とした植物の分譲(生株、葉、花、花粉、果実、種子、枝、樹皮等)や管理データの利用、管理する技術職員によるサポートの提供については、協議の上で対応しています。

   

【参考文献】
北大植物園資料目録(3) 北大植物園高等植物目録
北大植物園技術報告?年次報告(2001-)
虎扑体育下载農学部附属植物園年報(1986-2000)

生育地外保全株

 北大植物園は、絶滅危惧植物や日本固有種?北海道固有種などの希少植物の生育地外保全株を管理しています。保全株は、環境省や都道府県、文化庁、森林管理署の許可を受けて、野生集団の存続に影響のない範囲で種子の採取を行い、導入しています。とくに、日本の中で比較的冷涼な本園の気候を利用し、冷温帯植物?高山植物の生育地外保全に力を入れています。
高山植物を展示しているロックガーデンでは、岩組みの下に水がたまる工夫を施して夏の暑さを和らげており、テシオコザクラ(サクラソウ科)、ムシャリンドウ(シソ科)、ヒダカミセバヤ(ベンケイソウ科)などの絶滅危惧種を育成?展示しています。
非公開の苗圃では、栽培?増殖法の確立のための試験栽培を行っています。蛇紋岩地のヒダカソウ(キンポウゲ科)など特殊土壌に生育する植物については、栽培方法を工夫するなどして増殖に成果を挙げています。
増殖した保全株は、これらの絶滅危惧種を研究する際、野外集団からの採集を繰り返さずダメージを避けるための研究試料としても利用されています。



植物標本

 北大植物園の植物標本庫(略号SAPT)には、北海道に自生する維管束植物を中心に約5万点のさく葉標本、種子標本、材鑑標本が収蔵されています。標本は、研究成果の証拠?再検証可能性の担保として重要であるとともに、研究資源として将来の研究?教育を促進するものです。
 代表的なコレクションとしては、『樺太植物誌』の著者で戦前のサハリンで精力的に標本を採集した菅原繁蔵氏のコレクション、『北海道植物図譜』の著者である滝田謙譲氏の北海道産植物標本コレクションが挙げられます。また、植物園教職員や農学部?農学院の植物生態?体系学研究室の採集品、国内外の大学?研究機関との交換標本、市民研究者から寄贈された標本も数多く収蔵されています。
 蘚苔類標本のコレクションでは、橘ヒサ子氏採集の湿原性蘚苔類コレクション、滝田謙譲氏採集の北海道産ミズゴケ属コレクションなどが代表的なものです。

【参考文献】
菅原繁蔵. 1937-1940:樺太植物図誌
滝田謙譲. 2001:北海道植物図譜




種子交換事業

 北大植物園は、種子交換目録Index Seminumを隔年で発行し、国内外の植物園?研究機関との種子交換により、コレクションの共有?拡充を図っています。実施年には、平均して約30カ国?100機関からの交換依頼を受け、延べ1,000種類以上の種子を送付しています。